ニーズとメッセージ ―伝える技術(3)
メディカルライティングのための「伝える技術」、第3回のテーマは「ニーズとメッセージ」です。 前回は読者ペルソナの設定について触れましたが、その続きとなります。つまり、読者像が決まったら次に考えるべきことは、その人のニーズとそれに対応するメッセージだということですね。さっそく見ていきましょう。
読者のニーズを考える
何らかの情報提供をするというときに、読者のニーズを考慮せずに自分がいいたいことだけを書き連ねても、それは伝わりません。お腹が減ってフラフラな人に対して、どんなにキレイな洋服を見せても、それは無駄ってもんです。服を買う金があるなら今すぐ美味しい食べ物を食べたいでしょう。
これはごく当たり前のことなのですが、少し抽象度が高い話や状況になると、途端にこの辺りが抜け落ちてしまいがちです。メディカルライティングのみならず、通常のビジネスシーンでも同様かもしれません。
どうやってニーズを把握する?
ニーズを把握する方法で最も良いのは、読者ペルソナにマッチした人から直接ニーズを聞き取ることです。例えばインフルエンザに罹ったかもしれないと心配している成人を何人か捕まえてきて、「いま何が欲しいの、何がしたいの」と問いただすことです。
まあ、この方法は実現可能性が低いですし、やりようによっては倫理的にもアウトになりそうです。次点としては読者ペルソナに近い集団を対象にした調査を参照することでしょうか。インフルエンザの初期の患者の困りごとを調べた結果を探してみましょう(見つかればいいけどね…)。もしくは、その読者ペルソナに詳しい人からヒアリングするという方法も考えられます。
SEOライティングの経験がある人であれば、googleの検索ワードからニーズを把握する方法を取るかもしれません。検索ワードには個人の本音が出ますので、かなり参考になります。問題は一定数のボリュームがあるテーマにしか使えないことと、読者ペルソナを絞り込みづらい点でしょうか。
頼りになるのは「想像力」
このように、ニーズを把握する方法はいくつかありますが、実現しにくかったり、欲しい情報が手に入らなかったりして途方に暮れることはよくあります。
こんなとき、なんだかんだ言って最後に頼りになるのは「想像力」です。
インフルエンザに罹ったかもしれないと心配している成人だったら、こんなことに困っていて、こんな心配をしていて、何を欲しているのか――。もし自分がその状況に置かれたらどう思うか、本気で想像してみれば、おのずと答えに近づけるのではないでしょうか。
このときに発揮される想像力の精度は、これまでにどれだけ幅広い層とコミュニケーションを取ってきたか、どんな経験を積んできたかが試されます。「人生力」とでも言いましょうか。個人的には一人呑みを覚えた20代後半辺りにすごく鍛えられたような気がしています。本当に、世の中にはいろんな人がいるよねぇ…(遠い目)。想像力の選手権で優勝するのは、銀座のママとか小説家なんじゃないかなあ。
ニーズを踏まえてメッセージを検討する
ニーズが明らかになれば、そのニーズに対応する知識なり対処法などを調べて、書いていくことになります (※ただし、メディカルライティングにおいては「医療者が持っているニーズ」にも配慮する必要があります。これについては次回に解説します)。
しかし、ニーズというものはたくさんあって然るべきものです。複数のニーズに対応してあれもこれもと書き連ねていくと、結局何が言いたいのか、何をすればいいのかがぼやけた文章になってしまいます。ですから、ニーズを検討した後にしなければいけないのは「最も伝えるべきメッセージを決める」ことなのです。
原則は「1記事1メッセージ」
人間、いきなりあれもこれもと言われても、頭に入りません。欲張らずに、1記事につき1つのことしか理解してもらえないという前提で書きましょう。他に言いたいことがあるなら、もう1本別の記事を用意すればいいのです。その方がPV稼げていいじゃないですか。回遊させましょう回遊!
原則は1記事1メッセージです。…あれ、だったらこの記事も「ニーズ」と「メッセージ」で2本に分けるべきじゃない?。。そうだ、そうしよう!
というわけで、今回はここまで…(^_^;)/~
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