構成の図解 ―伝える技術(9)

メディカルライティングのための「伝える技術」、第9回のテーマは「構成の図解」 です。ここまで「メッセージが伝わる文章構成」を作るための「要素間の位置づけ」「思考の流れ」「要素間のつなぎ」について解説してきました。今回はこれらのポイントを押さえて構成を作るためのテクニックをご紹介します。

構成を図にしてみると分かりやすい

ここまで文章構成を作るのに考慮すべきことをあれやこれや書いてきましたが、要は「必要な要素だけにする」「読者の思考に合わせて配置する」「要素間をつなげていく」という3点に気を付ければいいのです。

そこらへんの草…ではなく紙に「要素」と「それをつなぐ線」を書いて図解してみると、この3つのポイントを押さえた構成が作りやすくなります。

「構成の図解」の実例

では、ある文章構成を例に挙げて考えてみましょう。

全体の流れとして【A】→【B】→【C】という構成を考えたとします。【A】は導入、【B】は本題、【C】は結論としましょう。【D】と【E】という要素もあり、これは【B】に関連する具体例です。また【D】と【E】は相反する内容となります。結論としては【C-1】【C-2】【C-3】の3つに分解できます。

文章で書くと、なんか頭に入ってきにくいですよね。これを図解すると下記のようになります。

構成の図解の例(1)

こうすると、とても分かりやすくなります。執筆していくときに思考や気持ちがブレたり、不注意で要素が入り混じったりしないようにするためにも、このようなメモ書きをしておいて脇に置いておくと非常に役立ちます。

特にまだ慣れていないときや、内容が複雑で頭のメモリー容量が足りないときには、この構成の図解をぜひ試してみてください。

複数の取材内容をまとめるときにも使える

この「構成の図解」テクニックは、取材内容を整理して構成を考えるときにも役立ちます。1取材で1記事書くなら図解するまでもないときが多いですが、複数の取材からまとめて記事を作成するときは重宝します。それぞれの取材先から多様な情報が入ってきますし、重複や不足なども起こりやすくなりますからね。

取材内容から使えそうな要素を抜き出して、それら同士がどのような関連があるのか検討すると、どのような構成の軸でまとめればいいか見えてきます。

構成の図解の例(2)

上記は3つの取材先から得た情報をまとめて1記事を書いたときの「図解」です。左上に「県政」、右上に「Dr」、右下に「患者」とし、それぞれの立場に関連した要素を書き出しています。そして左下に配置した「読者」に向かって、どういったメッセージを設定すべきか検討しています。

蛍光ペンで色分けしているのは、2つに記事を分けたときに前編にした方がいいもの(黄色)と後編にしたほうがいいもの(ピンク色)を検討した名残です。補足的な内容は緑色で囲ってます。

こんな感じで、頭のメモリが足りなくなりそうな作業の場合は、いったんざっくりアウトプットしてみると、だいぶ見通しが良くなります。

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