企画のための情報収集 ―伝える技術(番外編)

今回は伝える技術の番外編として、コンテンツ企画をする際の情報収集法についてまとめます。私の場合、ライティングだけの依頼よりも、企画段階から関わるお仕事の方が多いです。ネタ探しや企画の大枠を作るときにやっている方法をお伝えします。

一周回って、書籍が一番

医療・健康系のコンテンツ企画のための情報収集では、記事のメッセージを考えるときと同様に、「読者ニーズ」と「医療者ニーズ」の両面から検討していきます。

企画するときには全体像を俯瞰しておくことが大事なのですが、そこで威力を発揮するのが「書籍」です。「紙はオワコン」とか言って、出版社からウェブメディア運営会社に移った経歴の持ち主が言うのも何ですが……、調べものをするのに書籍ほど使えるものはないと、今更ながら痛感しております。書籍の構成は著者と編集者が考え抜いたもので、記載内容はネット情報よりも深いことが多く、まとまった情報元です。

本だからといって無条件に中身を信用してはいけませんし、実際にコンテンツを作成する際にはしっかりしたエビデンスを別途探しに行く必要があるものの、全体像を掴むための情報源としては書籍がNo.1だと思います。

図書館とAmazonの組み合わせは最強

では、参考となる適切な書籍を探すにはどうすればいいでしょうか。私がよく使う方法をご紹介します。

Amazon先生マジ感謝!

書籍を探すとき、Amazonほど使えるツールはないと思います。検索欄にキーワードを入力すれば、あっという間に候補リストが作れちゃいますからね。また、「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」欄がめっちゃ使えます。

タイトルと目次を確認すれば、どの本が参考になりそうかはだいたい分かります。企画にもよりますが、初期の調べもので使えそうな本が10冊くらい見つけられると安心できるかな、という感覚です。

読者ニーズは図書館で

お金持ちなら、Amazonや本屋さんで書籍を全部購入すればいいと思います。しかし私は収入の安定しないフリーランスなので、そういう贅沢はできません。どうするかというと、地域の図書館のお世話になります。

私は墨田区に住んでいるので、墨田区図書館を利用することができます。墨田区図書館はホームページで書籍検索ができ、そのまま予約&取り置きの申し込みができるので、ものすごく助かっています。区内に数か所ある図書館から、最寄の図書館に回送までしてくれて、中1日ほどでほとんど揃います。 住民税を払っていて良かったなあと心から思える瞬間です。

医療者ニーズは専門書で

医療者ニーズを捉えるためには、専門書にも目を通しておきたいところです。

特に役立つのが医療者向けの専門雑誌(医学系出版社が出している月刊誌)です。がっちりした医学の成書より値段が高くないし、毎号しっかり特集が組まれている雑誌が多いので、ドンピシャな特集を見つければしめたものです。

こういった雑誌は地域の図書館で手に入れようとしてもほぼ無理なので、Amazonで注文してしまいます。在庫がなかったり、古本屋がかなりの高値で出したりしている場合がときどきありますが、そういうときは出版社に直接問い合わせればいいのです。たいてい社内に在庫が残っているので、定価で直販(通販)してくれます。

最終手段は国会図書館

テーマ的にどうしてもその本を手に入れたいのに、絶版になっており、書店にも出版社にもない――そんなときに最後の砦として、国立国会図書館(永田町)があります。

国会図書館には、法律で「国内で発行されたすべての出版物」を納入することが義務づけられています(納本制度)。まともな出版社から出た本なら全てここで閲覧することができます。ただし、貸し出しはしていないので、必要な部分をメモするか職員にお願いしてコピーを取ってもらう必要があります。昔の新聞や雑誌をチェックするにもよい場所です。

こう見ていくと、現代の日本国民は情報へのアクセスが保障されてるなぁ、とつくづく思います。はい、粛々と納税させていただきます。

「情報過多の時代」とは言うけれど…

ウェブメディアの発展につれ「情報過多の時代になった」と、よく言われます。しかし、本当にまとまった奥行きのある情報源に接する機会はかえって減っているのではないかな、と思います。

ウェブでは本ほど深堀りした情報を出しにくいのは事実で、ビジネスモデル上で仕方ない面があります。逆に本はウェブよりアクセスしにくいし、情報の新鮮さに関してはウェブにまったく敵いません。

本とウェブ、双方のメリットとデメリットを理解して使いこなせばいいのです。少なくともライターなど情報を出していく側の人間は、紙とウェブの両方を使いこなすリテラシーが求められるのではないでしょうか。

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