佐賀県の肝がん対策を書籍化!―伝わるメディカルのブックライティング(1)

以前、このブログで書籍のお仕事について書きました(書籍を企画する・売り込む・書く)。ここで触れた「2冊目」の出版が正式に決まりました。編集者として本を企画・制作したことはありましたが、著者(しかも単著)として1冊書くというのは初めての経験です。今回、どのような形で仕事を進めていったのか(公開できる範囲で)記録に残していきたいと思っています。

佐賀県の肝がん対策のこれまでを書籍化し、後世に残す

2019年秋、佐賀県は20年ぶりに肝がん粗死亡率の全国ワーストワンから脱却したことを報告しました。19年間にわたり、肝がんで亡くなる人が全国で一番多かったのが佐賀県なのです。しかも2位の県と比較しても明らかに多く、グラフで見ると1県だけ飛び抜けているような状態でした。

もちろん、放っておいてはその状態は改善されません。ワーストワンから脱却するまでには、医療・行政関係者のみならず幅広い領域の方々が自分ゴトとして奮闘する熱い人情面と、コンサルばりの鋭いデータドリブンの戦略面とが噛み合った、濃密な数年間があったのです。

この佐賀県の肝がん対策の軌跡を後世に残したい、そして二度と後戻りをさせてはならない――そんな想いから、今回の書籍化が決まりました。なお、書籍化の前に概要を紹介する記事を書き、m3.comに掲載していただきました。それが下記です(m3.com会員しか閲覧できない記事です)。

出版が決まるまでの流れ

ただ、書籍化が決まるまではけっこう大変でした……。

この佐賀県肝がん対策の主人公とも言える江口先生と初めてお会いしたのは2019年7月頃だったと記憶しています。当初は別件でお仕事をご一緒していたのですが、私がフリーのメディカルライターと知るや「本を作りたいんです!」と突然仰った。これが始まりです。当初は大学や研究班の予算を使って自費出版するのかなと薄っすら思っていたのですが、そうではなく。 佐賀県の肝がん対策を例に出して、地域の課題を解決するためのビジネス書ライクな本を全国展開したいというご希望でした。

いずれにせよ、話を詳しくお伺いしないと企画がまとめられないので、2019年10月末頃に1週間、佐賀に滞在するなどして複数人の関係者にインタビューを実施しました。

ビジネス書として売り込んでみる

そこから、伝手を辿っていくつかの大手出版社への売り込み作戦が始まりました。ほぼ完成版の原稿を書いてしまってから持ち込む方法もあるのですが、私はそれは嫌でした。というのも、出版社にも編集者にもカラー(好み)があるので、大きな書き直しや修正指示が入ることは間違いないからです。ですから、概要がつかめる企画書と大まかな目次、参考となる記事(上記)を用意して持ち込むこととしました。

しかし、なかなかうまくいきません。「佐賀」「肝がん(肝炎)」というキーワードに一般のビジネスマンが飛びつくか、身近に感じるか……正直、難しいと思います。先方からは「医療や行政の専門出版社の方がいいのでは」「佐賀は1例として他の事例も入れたい」「出版点数を絞っている中で難しい」「ノーコメント」等々のお返事が来ました。ですよね~~……

あきらめたらそこで試合終了ですよ

このまま同じように出版社にアプローチしてもダメっぽい……ということが分かってきて、路線変更を考えた方がいいのではという雰囲気、停滞感が漂う状態がしばらく続いていた中、2020年1月26日に奇跡的な一報が入りました。

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なんと、佐賀県で活動しているあるNPO法人から「肝がん対策のこれまでを書籍にまとめて出版することを検討している」と、江口先生に打診があったというのです!

まさに渡りに船。大人の事情で2020年夏頃までに出版をしなければならなかったので、そこからの話は早かったです。当NPOを通じて、いくつかの出版社が示され、結論としては佐賀新聞社から出すことになりました。3月13日に関係者を集めたキックオフミーティングを実施し、今後の課題やスケジュールについて確認しました。

ここから私のターン!!!

というわけで、これから私のスーパー執筆タイムが始まることになります。ブログなど書いていないで、さっさと書き始めろやという話なんですが……気持ちを作る儀式の一環ということで(^^;)

いきなり1ページ目から書き始めるわけにもいきませんので、まずは構成案の作成から。もちろん企画を通す段階でざっくりとした目次や構成は作っていますが、この状態で書き進めてしまうと全体としてのボリュームやまとまりをコントロールしにくくなりそうなので、より詳細な構成案(プロット)を作ることにします。

普段は1本2000字くらい、長くて4000字の記事を書いている短距離走者の私がマラソンに挑むには、42.195kmを1kmごとに分割して、内容(文字数)とスケジュールを計画しておかないと無理でしょう。

また、書いていくうちに気持ちがブレるのは必至です。そのブレを極力抑えるために、読者ペルソナを設定して、執筆前に眺めるようにします。読者ペルソナは読者層を代表するような架空の1人を設定し、その人が読んで分かるか、共感できるか、退屈しないか等々を判断するためのものです。これから、そのペルソナと2人3脚で書き進めることになります。

3月は準備運動をして、4月頭にスタートし、ゴールデンウイーク中にゴールする予定です。がんばります!

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